「NYタイムズ日本たたき顕著」(産経新聞)
よく言われることではあるが、ドイツはただ侵略戦争をしただけでなく、ドイツ国民自らの意志で選んだ独裁者の下で、国籍を問わず特定人種民族の殲滅を目的とする政策を掲げ、それを組織的に実践した。戦後は、ホロコーストの罪はドイツ国民ではなくナチス党にあるという論理によりすがり、憲法忠誠を国民に課す(価値自由のない)民主制の下で早々に再軍備したが、いまなおその社会に白人至上主義あるいはアーリア人至上主義を正面から掲げるネオナチを平然と抱えている。(これは日本の街宣右翼(その構成員のかなりの部分は在日朝鮮人である)等とはまったく異質の「人種主義」運動である。)
にもかかわらずドイツは日本のように欧米リベラルによる非難を受けることはない。なぜか。日本の「民族主義」「排外主義」を批判する欧米リベラルの動機の根底にあるものは、彼ら自身の人種主義、白人至上主義にほかならないからである。まず第一に自らの人種主義を糊塗するために日本の「民族主義」をことさら強調するのだが、それだけではない。
自由で民主主義の実績を持つ日本が「民主主義」に遠く及ばないことを彼らが強調するのは、まさに、日本は民主主義に「及び得ない」というレッテルを暗に貼るためなのである。すなわち、有色人種は専制や全体主義の被害者にはなりうるが、それを自ら克服し民主主義を自ら運営する主体にはなりえないことを、彼らは確認したいのである。それはつまり有色人種は「文明には及び得ない」ことを確認する行為にほかならない。
このように欧米リベラルの日本批判の動機の根本にあるものは、「文明」と「野蛮」との人種主義的定義の再確認であり、白人キリスト教徒の人種的文明的優位性の確認にほかならないのであるが、それを白人自身が直接手を下してやるのでなく、アジア系や日系人あるいは反日日本人を使ってやらせるところが白人の狡猾なところである。分割して統治する、部族対立・民族対立を引き入れて内紛を起こした上に白人支配を確立するというやり方は、彼らがアジア・アフリカで数世紀にわたって実践してきたことでもある。
人種的優位性の認識が白人にとっていかに死活的なものであるかを示すエピソードの一例を挙げると、19世紀末、イギリス人が「ローデシア」と名づけたジンバブエで、アクロポリス、神殿などからなる巨大な石造建造物群が発見されたが、白人はそれをどうしても黒人が作ったものと認めたがらなかった。それで彼らはそれを旧約聖書「列王記」にあるオフェール(オフルOphir)の遺跡だと発表した。しかし、ジンバブエ遺跡から発見された遺物の中にはそれが黒人文化の所産であることを示す像などがあり、アラブや中国との交易を示すものも見つかった。それでもイギリス人はそれを認めず、都合の悪い遺品を隠蔽して公にしないという暴挙に出た。それらの多くは現在なお公表されていないのである。(文春新書「民族の世界地図」より)
異人種・異民族との支配・被支配とは無関係に独自の文明を作り上げた日本人には理解しにくいことだがが、白人文明は、その揺籃においてすでに有色人種の「野蛮」世界に対する支配・搾取をその要件としていた。
すなわち西洋文明は、有色人種の奴隷や植民地に対する搾取の「果実」の上に初めて成立しえたシステムなのである。いいかえれば搾取なくしては成り立たず、搾取しながらも非難し嘲笑すべき「野蛮」なくしては自己を確立し得ない文明が、まさに白人キリスト教文明である。
アジア系の口を借りた彼らの日本に対する執拗な攻撃・非難も、このような文脈においてのみ初めて正当に理解せられるものであると思う。
以上は前置きでした。
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(記事)
産経新聞11月28日朝刊「NYタイムズ日本たたき顕著」
【ワシントン=古森義久】米国左派リベラルの大手紙ニューヨーク・タイムズの日本への否定的な論調がこのところ鮮明かつ露骨となってきた。靖国問題で中国側の主張を全面的に正当だとするだけでなく、米国との同盟関係に基づく日本の安全保障政策や国会議員の大多数が賛成する憲法改正までも「危険な軍国主義志向」として扱うという日本への不信や非難の姿勢が明らかなのだ。同紙の最近の反日論調を点検してみた。
ニューヨークタイムズは日米同盟の強化に反対し、日本が米国とともに東アジアの安全保障に関与することにも留保をつける点では日米安保条約自体にも難色を示すといえる。同時に中国の動向には奇妙なほど理解をみせる。十九日付の「冷戦的な中国政策」と題する社説をまずみよう。
同社説はブッシュ政権の対中政策を冷戦時の対ソ連「封じ込め」に等しいと批判し、「中国はいまは米国への明白な軍事的脅威ではない」と述べ、中台衝突の危険も緩和されたと断じる。そのうえでブッシュ政権が中国の周辺諸国との軍事的きずなを強めることはよくないとして日本をその「最も厄介な実例」と評し、次のように述べる。
「ブッシュ政権はすでに心配な民族主義的な日本政府に軍事に対する戦後の制約を捨てて、もっと野心的な地域安保の目標を目指すことを積極的に促しだした」
この「心配な民族主義的な日本政府」という基調は、日本国民を民族偏見と劣等感をもつ偏狭な民族として描くところまで暴走する。同日付の「アジアのライバルの醜いイメージが日本でベストセラーになる」という報道記事がその一例だといえる。
民族偏見 排外主義
同紙東京支局長のノリミツ・オオニシ記者の同記事は、日本で人気を集めた「マンガ中国入門」(飛鳥新社)などの漫画本を、 日本人の「長年のアジアの他民族への偏狭な排外主義」や「複雑な優越感と劣等感」の表れとしての「中国人、韓国人への憎悪」と決めつけ、日本人が中国人らに民族偏見を抱いているように描く。同記事はこうした漫画本が出る原因となった中国側の激しい反日には一言も触れていない。
この種の一方的な「報道」記事と「評論」である社説とは二人三脚で日本たたきを続ける。日本の政治を一党独裁の中国と同一視するオオニシ記者の「なぜ日本は一党に統治されることに満足なのか」と題する記事(九月七日)は日本には民主主義はないと断ずるに近い偏見に満ちていた。単に自民党の長期政権が続くという理由だけで、日本の政治を中国や北朝鮮の独裁にたとえ、韓国や台湾のほうが市民社会や自由なマスコミが健在で民主主義も進んでいる、というのだ。記事には次のような記述が続出する。
「政治家と選挙民の関係はパトロンと顧客の関係であり、民主主義ではなく、その正反対なのだ」
「日本の民主主義は一九五五年に作られた幻想であり、五十年の一党支配が民主主義の成長を止めてしまった」
日本の国民が民主主義の下で自由に意志を表明した結果の自民党政権への信託という結果をまったく無視するわけだ。
アジアは小泉警戒
総選挙での自民党の大勝利を受けての九月十三日の同紙の社説も、日本の民主主義の基盤や対米同盟の根幹を無視し、侮辱さえする内容だった。
「(選挙での自民党の勝利は)小泉首相の軍事的ナショナリズムという日本の伝統の愚かな擁護を容認することになった」
「軍国主義者が祭られる神社への小泉首相の参拝と、より力強い軍事政策への小泉首相の支持はアジアの世論全体を警戒させることになった」
この記述はいまの日本には軍事的ナショナリズムという伝統が残り、その伝統を守ることは「愚か」なのだとする。しかも小泉首相が安保面でとる政策はみな「軍事的ナショナリズム」であり、「アジアを警戒させる軍事政策」なのだ。
だが首相の「より力強い軍事政策」というのはみな米国との同盟関係の維持や強化の範囲内である。日米共同のミサイル防衛や中国の軍拡への懸念の表明、その日米共同の抑止の効用を高めるための種々の措置など、みな米国から奨励されての動きなのだ。その日米同盟の本質といえる各措置を危険扱いするわけだ。
共和党保守派を一貫してたたく同紙は、「敵」の「友」は自動的に「敵」とみなすような情緒的な態度を示す。その一例としては小泉改造内閣の顔ぶれを報じる十一月一日の東京発オオニシ電に以下のような記述があった。
「官房長官となった安倍晋三氏は北朝鮮と中国へのタカ派的なスタンスで日本でも最も人気のある政治家となり、ブッシュ政権のお気に入りともなったが、アジアの近隣諸国の強い不信を招いた」
つまりブッシュ政権に気に入られることは好ましくないというのだ。こうみてくると同紙が靖国問題でさらに反日親中の偏りを激しくするのも自然に思える。小泉首相の十月十七日の靖国参拝に対し同紙は十八日の社説で「東京での無意味な挑発」と題し、日本を攻撃した。
軍国主義 伝統擁護
「小泉首相は日本の軍国主義の最悪の伝統をあえて公式に擁護してみせた。靖国は日本の二百五十万の戦没者の単なる慰霊の場ではない。二十世紀前半の数十年の日本による虐殺にまみれた朝鮮、そして中国と東南アジアの大部分での凶暴行為への悔いない見解を促進している。神として追悼され、崇拝される霊には裁判で有罪とされたA級戦犯十四人も含まれているのだ」
同社説は日本の首相をさらに激しく非難する。
「小泉首相の靖国参拝は日本の戦争犯罪の犠牲者の子孫たちに対する計算ずくの侮辱だ。首相は自分が何をしているかを明白に知っている。その参拝は自民党の右翼ナショナリストの礼賛を得たが、首相はこの勢力を抑えつける必要がある」
この独善的な非難は小泉首相の靖国参拝への「国のために亡くなった人への弔意」とか「平和のため」「戦争を繰り返さないため」という説明をまったく無視して中国の主張をそのまま繰り返すに等しい。
また同紙は日本では国会議員の大多数、国民の多数派が支持するにいたった憲法改正をも「危険な軍国主義志向」と断じており、日本にとっては民主主義同士の同盟国の大手メディアの論調とは思えない。
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